ゆるゆるブログ

ドラマや映画を観た感想をゆる〜く書いていきます。自分の記録用。

ニワトリがもっと空高く遠くまで飛びますように

以前、「ニワトリ★スター」について感想を書いたのですが、「まだ観ていない人に、もっとニワトリ★スターの魅力を伝えたい!」と思い、また書いてみました。少しでも興味がある方はぜひ!「ニワトリ★スター」を観てください!!その後押しが少しでも出来たら嬉しいです。

 

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映画「ニワトリ★スター

主演/井浦新成田凌

脚本・監督/かなた狼監督

 

〜STORY〜

東京の片隅にあるアパート、"ギザギザアパートメント"で共同生活を送っている雨屋草太(井浦新)と星野楽人(成田凌)の物語。麻薬の末端売人である草太と、仕事にも就かず自由気ままな楽人は何の目標も無いままに上京して自堕落な生活を送っていた。そんな二人の傷だらけのファンタジー物語。

 

公式ホームページはこちら▶http://niwatoristar.com/

 

私は映画の評論家でもないし、特に詳しいわけでもないです。技術的なことは全然分からないので、本当にただの素人の感想になります。「ニワトリ★スター」の魅力を伝えたい!という気持ちだけで書きます。少しでも魅力が伝わると嬉しいです。

初めてこの映画の予告を見たときは、今までに見たことがない類の映画だったので正直言うと観るか迷いました。「ヤグザ世界の話・・・?怖そう、どうしようかな・・・」と何日も悩みました。でも、井浦新さんが出演されているので観るしかない!という気持ちで観に行きました。そのときの自分の勇気を褒めてあげたいです。観に行かなかったら、絶対に後悔していました。あの感動は映画館で、スクリーンで観たから感じたもののような気がします。ミニシアターで映画を観ることも初めての経験でした。大きな映画館とは違った感覚になりました。それが何かって言ったら難しいですが、なんだろう・・・、ものすごい機密さで映画に詰まったエネルギーをそのまま受け取ることが出来た、という感覚です。これは癖になります。可能な方はぜひとも、映画館に足を運んで頂けたらと思います。

不安は的中して、映画序盤から目を瞑りたくなるし、耳を塞ぎたくなるシーンが沢山ありました。「これ、本当に流してもいいの?」と、映画鑑賞の経験が少ない私は思ってしまいました。でもそれが、かなた監督の観客に投げかけたいことなんだなっていう意図に気付いたときに、しっかりと目に焼き付けようと思いました。

そして、この映画の一番の魅力が、草太と楽人。そしてこの二人の関係性だと思います。

大阪から上京したけど、これといって目標も無かった草太が手を出した仕事は麻薬の売人でした。「欲しがることが面倒くさい」という草太はキラキラしたものに憧れて、欲しくて。それは夢だったり自由だったり・・・お金かもしれない。でも、そんな自分を囲むのは暗くて汚い世界。変わりたいけど変わる勇気も無くて、でもその世界に染まることも出来ない。がんじがらめになっている草太の葛藤が、新さんのお芝居でとてもよく伝わります。新さんの内側から溢れる儚さと色気によって草太という人間がより深く感じられます。新さんの関西弁を聞いたとき、「思ってたのとは違うけど、こんな感じなんだ。新さんの声、優しい・・・」と思っていました。でも、改めて考えると、東京に染まることも出来ない、だからといって大阪に帰ることも出来ない。その狭間にゆらゆらと揺れている不安定さを表現されているように思いました。そのような意図があったのかは分かりませんが、私はそのように感じました。観終わったあと、本当に草太のことが愛おしくて堪らなくなりました。かなた監督から「今までの井浦新が少しでも見えたら殺す」とまで言われた新さんの渾身のお芝居・・・ぜひ観てください!!

天真爛漫で自由気ままな楽人。打たれ弱そうに見えて実は強くて、強そうに見えて実は繊細なところもあって。「欲しいことほど告げられない」という楽人は過去の経験によって、きっと誰よりも愛情を欲していたんだなって感じました。そんな、きっと「愛情ってなんだろう」って思いながら生きてきた楽人が月海とティダくん、そして草太を想う姿がとてもかっこよくて、強くて。繊細な楽人を演じられた成田凌くんはすごいなって思いました。成田凌くんのお芝居を見たのは初めてだったのですが、本当にすごいなと。どのシーンも自然で、そこにいるのは楽人でした。

そんな草太と楽人の二人の親友でもあり、兄弟でもあり、恋人でもあるような・・・そんな関係性がとても素敵でした。お互いの過去のことは詳しくは知らなくても、喧嘩しても、離れていても想い合える。理想的な関係だなぁって。あるシーンで、草太と楽人のそういった関係性が特に表れていると感じたところがありました。それは草太と楽人でもそうだし、新さんと凌くんの関係性を見ることも出来たシーンです。クランクイン前にお二人が一週間ほど共同生活を送られたエピソードがありますが、その生活をコソッと見てしまった気持ちになりました。信頼関係やお互いへの愛情を沢山感じることが出来ました。他にも、クランクイン前に新さんと凌くんで監督の前で即興芝居をしたなどのエピソードもあります。そういった裏側を知ると、映画がもっと楽しく感じると思います。

 そんな二人の会話のテンポや間合い、声色にぜひ注目してください。所々で伏線になるものが多く、一分一秒、目を離さないで観て頂きたいなって思います。

また、草太と父親のシーンはとても切なくて、感動的なシーンでした。人生で出逢えた大切な人を思い浮かべました。隣にいる人を大切にしようと感じました。

東京にいた頃の草太と、大阪に帰ったあとの草太とでは表情がまるで違います。両親とお好み焼きを焼いている草太は愛されている顔をしています。安心しきった、息子の顔をしているなぁと感じました。家族っていいなって改めて思いました。そういった草太の表情の移り変わりにも注目して頂けたら嬉しいです。

映画の途中で何度か見かけるアニメーションもとても印象的です。すごい恐怖心を煽られました。でも、振り返ってみると、また観てみたいなって思えるような、癖になるアニメーションでした。

そして、他の共演者の方達も素敵な人達ばかりです!津田寛治さんの八田さんはトラウマになるぐらい怖かったです。月海役の沙羅マリーさんはとても可愛くて・・・!とても魅力的な方達ばかりでした。

スクリーンの向こうにいるのは、雨屋草太と星野楽人でした。そこには、ギザギザアパートに住む、どうしようもないのに愛おしくなる二人が住む世界がありました。映画を観て感じた恐怖、苦しみ、悲しみ、痛み、切なさ、喜び、愛おしさ、希望・・・そのすべてがあの世界にありました。こんなにも感情移入して、感情が引っ張られた作品は初めてでした。

ものすごいエネルギッシュな映画です。観始めてすぐに恐怖感でいっぱいだった心が、観終る頃には希望や愛情でいっぱいになります。涙が止まりませんでした。今でも一番に思い出すのは、草太と楽人が過ごしていた何気ない生活です。その生活は、二人にとってかけがえのない大切な時間だったんだなって思います。何度も観たくて、何度でも草太と楽人に逢いたくなります。私は都合上、一回しか観れませんでしたが、沢山の人が何度も映画館に足を運んでいます。もし、セカンドランがあったら私もまた観に行きます!

本当に沢山の方の心を惹き付ける作品です。そして、かなた監督や出演者のみなさんの熱い想いやエネルギーが詰まっています。そのエネルギーを受け取り、観終ったあとに「私はこのまま、何も挑戦せずにいていいのか?人生は一度きりなのに・・・」と思いました。何かを表現せずにいられなくなりました。そして、この映画に後押しをしてもらい、小さいけど一歩を踏み出すことができました。どんな形でもいいから、あがいてみよう。やってみようと思うことが出来ました。そんな映画のものすごいエネルギーを、まだ観ていない方にも感じてほしいなって思います。

 長々とした拙い文章を読んで頂き、ありがとうございます。ほんとに、「好きです!観てください!」と言うことしか出来ません。

この映画を通して、映画の楽しさ、表現の可能性、そして大切な人がいることの喜びと切なさを感じました。恐怖いっぱい。胸を締め付けられる切なさもあって、でも、希望と愛情が沢山詰まった「ニワトリ★スター」をぜひ、観てください!!

そして、ぜひともパンフレットを読んでみてください。かなた監督や出演者の方のインタビューはもちろん、ライターの相田冬二さんのインタビューがとても素敵です。草太と楽人の関係性をまた深く感じることが出来ます。

 

弱いけど、人として大切なものを捨てきれなかった優しい草太と楽人のことが大好きです。そんな愛おしい二人の、傷だらけのファンタジー物語です。

 

ニワトリがもっと、空高く遠いところまで羽ばたきますように。

 

公式サイト▶http://niwatoristar.com/

 

akairo