ゆるゆるブログ

ドラマや映画を観た感想をゆる〜く書いていきます。自分の記録用。

チェイス〜国税査察官〜

 

難しい内容かなぁ〜?と思いつつも、井浦新さん演じる村雲修次のビジュアルと設定に惹き付けられて観ました。観て正解でした、色んな意味で。

まず、村雲さんのビジュアルがかっこよすぎた。スーツ、義手、黒手袋...そしてなにより髪型!ツーブロ!!半端ない色気が溢れてた。新さん何でこんなにスーツ似合うんですか...モデルさんだからですか...ご本人は透明感半端ないのに黒のスーツが似合うってすごいと思うんですよね。(ちょっと何言ってるかワカラナイ)

そしてなにより村雲修次の設定がめちゃくちゃ好み過ぎた。義手ってもう...堪らないです、ごめんなさい。脱税コンサルタントとかかっこいいし、自分の目的のためなら誰でも利用しちゃう冷酷さを持っている。そのくせに根は真面目で。母親からの愛をずっと求めてて。これもう好きになるしかないでしょっていう。

共演者の方達も、江口洋介さん、田中圭さん、木村多江さん...と好きな俳優さんばかりでみなさん素敵でした。

そして脚本は坂元裕二さん!!これは観るしかないです。坂元さん大好きです。

話は国税査察官である江口洋介さん演じる春馬さんと、脱税コンサルタントである井浦新さん演じる村雲修次の対決...かな。対決というとちょっと、ううん?ってなる部分があるけど。

国税査察官である春馬さんは、当然だけど家族にも仕事の詳しい話は出来ないわけで。いつも家にいない春馬さんのことを娘の鈴子はあんまり良く思っていなかった。献身的に春馬さんに尽くす母親を見て、「お母さんがかわいそうだ」ってずっと言ってた。そしてあることが起きて二人親子仲が不仲になるわけなんだけども。そのこと抜きにしても、これ実はめちゃくちゃリアルな話なんじゃ...?と私は感じてしまった。国税査察官という仕事は本当にリアルに存在していて、この仕事に就く人達にも当たり前のように家族があるわけで。仕事柄、呼び出されたら何がなんでも行かなきゃいけないし、張り込みも朝早くから遅くまであって、帰れない日も多い。でも、家族からしたら仕事だけど、じゃあ具体的に何してるの?と言ったら何も答えてもらえないわけで。これはしんどいなって思った。家族との時間を犠牲にして働く人、犠牲になった家族がいることを私達は忘れちゃいけないなって思った。この職柄だけに限らずに。

村雲さんと春馬さんが電話しているシーンがとても印象的だった。春馬さんに「あなたはこの世界を恨む権利がある」って言う村雲さんの声がすごい耳に残ってて。そして、この言葉とリンクしたのが最終話。空港のトイレで基一に刺されたとき、「そんな顔をするな。お前は当然の権利を行使したまでだ」っていう言葉なんだけど。この言葉を聞いたとき、村雲さんは冷酷だけど、冷酷になるしかなくて本当は優しくて真面目な人なんだなって思った。世界は平等ではないことを知っているけれど、平等であるべきだと思っている人。ずっと、そう願っていた人なんだって思ったなぁ。そして、「ごめんな、基一」という言葉がもう...。村雲さんは自分なりに基一を弟としてずっと見てたんだなって思ったらめちゃくちゃ切なくて。でも、自分は兄だということを最後まで告げなかった村雲さんがとても村雲さんらしかった。

あと、めっちゃ話変わるけど村雲さんの色気やばい。一話の歌織さんとのベッドシーン、すごい堪らなかったです...新さんのキスシーンが好き過ぎる...。歌織さんが村雲さんの義手を指先でなぞるシーンがとても官能的に見えてしまった...。いやらしくないの!美しいの!!(力説)

村雲さんもめちゃくちゃ儚い人だったな。やっぱりそれは新さんだからだろうなぁ、ほんとに。ウォンが死んじゃうときの電話のシーンも、普段は感情を出さない村雲さんが叫んで悲しんで...。光くんに触れてみるけど、途中で怖くなってやめて。直接的な悲しみの言葉は無いけど、動作や表情で伝わってしまうのがすごいなぁ。あと思ったのが、村雲さんが光くんを触れるときに、いつも左腕を優しく辿ってたのがすごい好きだった...。(村雲さんの義手は左腕)光くんを初めて抱っこしていたときも表情にはあまり出ていなかったけど嬉しそうで。母親にとらわれずに、目の前にある幸せを掴めていたなら違う未来があったのになって思うと切なくなる。でも、それが村雲さんなんだよなぁ。

そして、村雲さんがずっと母親にとらわれている気持ちが痛いほどに分かるから、きっと私は村雲さんのことが好きで堪らないんだと思う。村雲さんがずっと持っていた木彫りの黒薔薇。黒い薔薇の花言葉は「恨み」「憎しみ」もあるけど、「決して滅びることのない愛」っていう花言葉でもあった。これ泣くしかないです。分かりすぎる。私も母親に捨てられたというとちょっと違うけど、母親から抱き締めてもらった記憶も無くてずっと母親からの愛を求めていたから。ドラマなどで見る、素敵な親子関係にずっと憧れていたし、今でも憧れている。だから、村雲さんの気持ちが痛いほどに分かってしまったっていうのはおごがましいかもしれないけど...。すごい、胸を抉られた。

最終話で春馬さんと村雲さんの地下室でのやり取り。とても印象的...。村雲さんの言葉ひとつひとつが分かる。本当に、私が今までずっと母親のことに対して思ってきたことそのままだった。

「僕は絶望なんかしていない。生きるために、子供の手足を切り落とす母親なんて、切り落とされた子供なんて、世界中に大勢いる…。僕は絶望していないし、誰も恨んでいない…。ただ…、ただ、もうひとつの人生を想像してしまうんですよ…。あっちとこっちに、どんな違いがあるんだ?…抱きしめられる子供と、腕を切り落とされた子供に、どんな違いがあるんだ?…いくら想像しても…違いが…分からないんだよ!…だから希望を持ってしまう…あり得たかもしれない人生に…希望を持ってしまう!…ねえ…ねえ…春馬さん…そう思いませんか?…ねえ…人を狂わせるのは、いつもそういう…希望なんだ…眩しくて眩しくて…目を細めて見つめる…希望の灯火なんだ…」

さすが坂元さんとしか言えないです。坂元さんが書かれた言葉と新さんのお芝居がこれ以外は考えられないってぐらいに重なり合って、今でも思い出しただけで胸が締め付けられて泣けてくる。村雲さんと自分を重ねて、自分がずっと抱えていたことがこうやって言葉にして表現されていて。それだけで救われた気持ちになりました。

村雲さんって無機質で冷酷な人なんだけど、ふと優しさや温かさを感じることがあって。それは、新さんが演じられているからだと思った。冷たいイメージだった村雲さんなんだけど、しっかりと体温を持ってあの世界で生きていたんだなって思えた。新さん、すごいです...本当に。新さんが村雲さんにすごい向き合わられて愛情を持って演じられたことが伝わって、それがまた村雲さんにとって救いだったんじゃないかなって、そんなポエミーなことを思ってしまうぐらいには、井浦新の村雲修次が本当に好きです。

最後の結末は悲しいものだったけど、でもあのままずっと母親にとらわれたまま苦しんで生きるよりは良かったのかなって思ってしまった。村雲さんは、きっとお母さんに木彫りの黒薔薇を受け取ってもらえないことを分かっていたのかもしれないね。でも、最後の最後まで母親から愛情をもらうためにお母さんに尽くした人だった。なんてかわいそうで、苦しくて、痛くて、でも人間臭い人なんだろうって思った。誰よりも人間らしい人だった。泣いた。

 

きっと、「チェイス国税査察官〜」は私にとってずっと大切な作品です。

そして、井浦新の村雲修次が大好きです。